塗装業者が必要な保険とは?知っておくべき基礎知識
「トラブルが発生した時にすぐに対応できるように保険に加入したいが、補償される場合はどんな時?」「保険の種類がたくさんあって分からないけど、どんな保険に入れば良いの?」
トラブルや事故のリスクがある塗装業において、保険に加入したいと考えている方も少なくないでしょう。
しかし、保険は種類も多いため難しくて分からないと困っている方もいるのではないでしょうか。
今回は、塗装業の方が知っておくべき保険について紹介します。
この記事を読んだあなたは、塗装業に必要な保険について理解し、万が一の時に安心して対応できるでしょう。
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事故やトラブルの可能性が高い塗装業を営んでいる方は、安定した経営をするためさまざまなリスクに備える必要があります。
塗装工事において、作業中と作業後に起こる事故やトラブルの事例を紹介します。
作業中のトラブルや事故
・塗装中にペンキが飛んで、近くの建物や車を汚した
・ペンキの缶を落として通行人にケガを負わせた
塗装する際、スプレーで吹付ける場合であってもローラーで塗装する場合でも、対策していたとしてもどうしても塗料は飛散することがあります。
作業中、どれだけ注意していたとしても第三者の人やモノに危害を加える可能性があるでしょう。
作業後のトラブルや事故
・塗装が完了し依頼者に引き渡した後、塗料の乾きが不十分で通行人の服を汚した
・工事完了後に、塗装した部分が剥がれたり、塗装不要の箇所まで塗装していたことが発覚した
工事が完了して引き渡し後であっても、トラブルが発生する恐れがあります。
引き渡した後だから関係ない訳ではなく、塗装業者が責任を負わなければいけません。
塗装業の場合、第三者から損害賠償を求められるケースが多いです。
第三者からの信用を失わないためにも、保険に加入しすぐに賠償責任を取れる体制を整えておく必要があるでしょう。
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塗装業では、上記の「塗装業者のトラブルや事故」で紹介した事例に対応できる保険が必要です。
大きく分けて、2種類の保険が存在します。
発生時 | 保険名 | 事例 |
---|---|---|
作業中 | 請負業者賠償責任保険 | ・塗装中にペンキが飛んで、近くの建物や車を汚した ・ペンキの缶を落として通行人にケガを負わせた |
作業後 | 生産物賠償責任保険(PL保険) | ・塗装が完了し依頼者に引き渡した後、塗料の乾きが不十分で通行人の服を汚した ・工事完了後に、塗装した部分が剥がれたり、塗装不要の箇所まで塗装していたことが発覚した |
作業中に起こったトラブルは「請負業者賠償責任保険」に対し、作業後に起こったトラブルは「生産物賠償責任保険(PL保険)」になります。
請負業者賠償責任保険
請負業者賠償責任保険とは、工事中に第三者の人やモノに危害や損害を与えた場合に会社が被る損害を保障してくれる保険です。
工事が終わった後に起こった損害は、補償の対象外となるため注意が必要です。
工事後の補償をカバーしたい場合は、生産物賠償責任保険(PL保険)に加入する必要があります。
請負業者賠償責任保険が適応される場合
・塗装中に近くの建物や車に塗料が飛んで汚してしまった
・資材を運んでいる最中に事故を起こし第三者の車を壊してしまった
工事中に第三者の人やモノに損害を加えた場合、保険が適応されます。
保険に加入することで、すぐに謝罪と賠償責任の対応が取れるため、早く信用を取り戻せるでしょう。
請負業者賠償責任保険が適応されない場合
・塗装工事中に豪雨で塗料がすべて剥がれてしまった
・引き渡し後に塗装漏れが見つかり、損害賠償金を請求された
自然災害や工事後のトラブルや事故は、保険対象外となります。
保険対象外の出来事も保険でカバーしたい場合は、特約を追加したり違うプランに加入することでリスクをカバーすることも可能です。
生産物賠償責任保険(PL保険)
生産物賠償責任保険(PL保険)とは、工事が完了し引き渡したモノや仕事の結果が原因で賠償責任を負うことになった損害を補償してくれる保険です。
請負業者賠償責任保険とは反対で、工事完了後に起こった損害が対象となります。
平成7年7月に製造物の欠陥が原因で、他人の生命や身体や財産に損害が生じた場合、製造業者等に損害賠償責任を負わせる法律であるPL法が施行されました。
PL法の施行により、生産物賠償責任保険(PL保険)に加入する方も多くなっています。
生産物賠償責任保険(PL保険)が適応される場合
・引き渡し後に塗装漏れが見つかり、損害賠償金を請求された
生産物賠償責任保険は、工事業だけではなく幅広い業種の方に必要とされている保険です。
注意して仕事をしていても、ミスや事故を起こさない可能性はゼロではありません。
万が一の場合に、保険に加入して安心して仕事を行える体制作りも大事になるでしょう。
生産物賠償責任保険(PL保険)が適応されない場合
・従業員がわざと近くの車に塗料を塗って嫌がらせをした
・通常の塗料ではなく、危険な薬品を使っていた
「故意によって生じた損害」や「危険すぎるモノを取り扱った場合」は、保険対象外となります。
せっかく保険に加入しているにもかかわらず、保険金が支払われないと意味がないため、加入する前に適応されない事例を確認することをおすすめします。
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無料 見積もり依頼はこちら損害保険の補償内容
補償を受けられるのは、保険期間中に発生した事故が対象となっています。
「請負業者賠償責任」・「生産物賠償責任保険(PL保険)」ともに補償内容は同じです。
ただし、工事中か工事後いつ起こったトラブルや事故かにより該当する保険種類が変わります。
補償内容
補償 | 補償内容 |
---|---|
損害賠償金 | 被害者に支払う治療費や修理費などの費用 |
争訟費用 | 訴訟を受けた場合の裁判や弁護士費用 |
損害防止・軽減費用 | 発生した事故に対して、損害の拡大防止や軽減防止策を講じた際に発生した費用 |
緊急措置費用 | 被害者の応急手当や病院へ運ぶときにかかった費用 |
協力費用 | 保険会社が事故の対応や解決に協力するためにかかった費用 |
権利保全行使費用 | 第三者に損害賠償請求をできる場合、権利を保全・行使するために支払った費用 |
請負業者賠償責任保険の特約
特約名 | 補償内容 |
---|---|
管理財物損壊補償特約 | 自社が管理している財物に損害があった場合の補償 |
工事遅延損害補償特約 | 工事の完了時期が遅れた場合に損害遅延金を払わなければならない場合の補償 |
借用財物損壊補償特約 | 工事で使っているリース契約やレンタル契約などの機械や道具を破損した場合の補償 |
支給財物損壊補償特約 | 仕事をするために支給された資材などの財物が損壊し、損害が発生した場合の補償 |
地盤崩壊危険補償特約 | 地下工事や基礎工事などに伴い、不測かつ突発的に発生した地盤の崩壊が原因で財物の損壊が発生した場合の補償 |
特約を追加した場合でも、補償対象外となり保険金が支払われない場合もあるため、特約を追加する際は保険会社に確認することをおすすめします。
生産物賠償責任保険(PL保険)の特約
特約名 | 補償内容 |
---|---|
不良完成品損害補償特約 | 生産物が成分や部品等として使用された完成品の損壊に起因する損害 |
不良製造品損害補償特約 | 生産物が部品として用いられた製造品の損壊に起因する損害 |
食中毒・特定感染症利益補償特約 | 食中毒や感染症が発生し、営業が休止または阻害されたために生じた損失 |
リコール費用特約 | 生産物の欠陥が原因で、リコールを実施するための費用を負担する場合の損害を補償 |
特約を追加する以外にも、他の保険プランと組み合わせることも可能なため、必要な補償を洗い出し保険会社の方と相談して必要な保険に加入しましょう。
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保険に加入するために決める補償内容や加入方法など5つを、手順に沿って紹介します。
被保険者は?
被保険者とは保険が適応される人のことで、会社として法人で加入したり、個人で加入することができます。
被保険者は、法人の場合は会社、個人事業主の場合は代表を設定することが多いでしょう。
しかし、会社の従業員や下請け業者も被保険者に含まれることが多いです。
誰が補償を受けられるか、しっかり確認することをおすすめします。
契約方法は?
契約方法は2通り存在します。
・個別(スポット)契約
・年間包括契約
個別(スポット)契約
個別(スポット)契約は、ひとつひとつの工事や仕事ごとに契約する方法です。
保険期間は、工事期間に合わせて設定することができます。
保険料を安くおさえることができる反面、工事ごとに手続きが必要なため加入し忘れたり手続きが面倒という場合があります。
年間包括契約
年間包括契約は、1年間の期間を一括して契約する方法です。
年間を通して複数の工事の予定がある場合は、保険の加入漏れを防げたり、手続きが簡素化できるためおすすめです。
会社の規模によって、どちらの契約にする方が良いかを考えましょう。
保険金の上限は?
事故やトラブルが起きた場合に保険会社から支払われる保険金の上限を決めないといけません。
主に2種類で設定することができます。
種類 | 内容 | 支払い限度額(1名) | 支払い限度額(1事故) | 支払い限度額(保険期間中) |
---|---|---|---|---|
身体賠償 | 通行人など第三者の人にケガを負わせた場合の治療費など | 3,000万円 | 2億円 | 2億円 |
財物賠償 | 近くの建物や車などの第三者のモノを破損した場合の修繕費など | – | 1,000万円 | 1,000万円 |
保険金額が高いほど、万が一の時に保険金が多く支払われるため安心ですが、支払う保険料も高くなってしまいます。
必要な補償額をよく考える必要があるでしょう。
自己負担額は?
保険金の中には「免責金額」という、自己負担しなければいけない金額が存在します。
免責金額も保険金と同様で、自分で金額を設定することができます。
(保険金支払限度額が1,000万円・免責金額5万円で保険に加入した場合)
塗装工事中に、近くの車に塗料がとび汚してしまい50万円の修繕費を請求された。
この場合、免責金額の5万円は自己負担となり、残りの45万円は保険金で支払われます。
免責金額を安く設定する方がお得な気持ちになりますが、免責金額が安いほど保険料は高くなります。
また、免責金額を高く設定して保険料を安く抑える場合には、損害額が免責金額よりも低い場合は、保険金は支払われず全額自己負担で賠償することになります。
よく考えて自己負担額を決める必要があるでしょう。
保険料は?
保険料は、工事の金額をもとに決定します。
個別(スポット)契約と年間包括契約は、それぞれ表の通りに保険料が決まることが多いです。
契約方法 | 保険料の算出方法 |
---|---|
個別(スポット)契約 | 塗装工事の請負金額をもとに保険料が計算される |
年間包括契約 | 塗装業者の売上見込金額をもとに保険料が計算される |
保険料を安く抑えたい場合は、保険金額と免責金額を低く設定すると保険料を節約できます。
しかし、万が一の時に必要な補償額が支払われないと保険に加入する意味がありません。
会社の規模や作業のリスクから本当に必要な補償を考えて、万が一の時に会社を守れる保険に加入することが重要です。
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無料 見積もり依頼はこちら塗装業者が保険に加入するメリット・デメリット
保険に加入することで多くのメリットがありますが、その反面デメリットもあります。
メリットとデメリットを紹介します。
保険に加入するメリット
・万が一トラブルや事故が発生した場合に安心して対応できる
・取引先から信頼され、仕事の依頼に繋がる
保険に加入することで、万が一の時に安心してスムーズに対応することができます。
新人社員や応援に来てくれて現場に慣れていない方が事故を起こす可能性も考えられるでしょう。
保険に加入していないと、損害をすべて会社が負担することになり経営が傾いてしまうリスクが潜んでいます。
また、取引先も保険に加入していればもしもの時にきちんと対応してもらえると安心と信頼に繋がります。
保険未加入の業者よりも、仕事を依頼されやすいでしょう。
保険に加入するデメリット
・保険料がかかる
・自己負担額がある
リスクに備えるにあたって、もちろん保険料を支払う必要があります。
事故やトラブルがなく、保険を使用しない場合でも保険料は支払わなければいけません。
また、すべての賠償金を保険会社が支払ってくれる訳ではなく、免責金額といって自己負担しないといけません。
安心した補償を受けるためには、お金がかかります。
しかし、トラブルや事故はいつどんな時に発生するか分からないため、スムーズに対応できるように会社を守るためにも保険に加入することをおすすめします。
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請負業者賠償責任保険や生産物賠償責任保険(PL保険)は、ほとんどの会社で取り扱いがあります。
おすすめの保険会社
・東京海上日動
・三井住友海上
・AIG損保
・損保ジャパン
・日新火災
保険会社によって補償内容や特約は異なります。
保険プランを組み合わせたり、主なプランに特約を追加して、ご自身に必要な補償内容を持ちましょう。
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塗装工事は、想定外のトラブルや事故が発生して損害賠償責任を問われるリスクがあるため、保険に加入することをおすすめします。
保険に加入すると、交渉手続きなどは保険会社が対応してくれるため安心して任せられます。
それぞれの会社によって必要な補償は異なるため、ご自身に必要なプランに加入するためにも保険会社とよく相談しましょう。
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