PL保険(生産物賠償責任保険)とは?基本のポイントを解説
「PL保険(生産物賠償責任保険)は、工事業や建設業にも必要なのか?」「どういった場合のリスクをカバーしてくれる保険なのか知りたい。」
PL保険は、工事業や製造業、飲食業など幅広い業種の方が加入している保険です。
しかし、補償内容や注意ポイントなど保険内容についてイマイチ理解していない方もいるのではないでしょうか。
今回は、PL保険(生産物賠償責任保険)に関する基礎ポイントを分かりやすく紹介します。
この記事を読んだあなたは、PL保険(生産物賠償責任保険)について理解できるでしょう。
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PL保険(生産物賠償責任保険)は、第三者に引き渡したモノや製品・仕事の結果が原因で賠償責任を負うことになった損害をカバーする賠償責任保険です。
・施工完了後に確認できた損害(工事)
・製造や販売など生産物で起きた損害(製造業・飲食業)
上記が原因となり、モノに損害があったり第三者にケガをさせた場合の賠償責任をカバーする保険となります。
工事業などのモノを作る業種だけではなく、製造販売などモノを流通させる業種など幅広い会社にとって必要不可欠な保険といえるでしょう。
PL保険が必要な業種
生産物賠償責任保険という名前のため、「モノを生産する業者」にとって必要な保険であるイメージが強いと思います。
しかし、その他にも「モノを販売・提供する業者」にとっても必要な保険なのです。
・工事業
・建設業
・製造業
・飲食業
・販売業
・卸売業
自分の業種には関係がないと思っていたが、実は必要な保険というケースも珍しくありません。
保険が必要になるかは、ご自身だけで判断するのではなく保険会社に相談することをおすすめします。
PL保険以外で工事業や建設業の方が必要な保険
PL保険以外にも、工事業や建設業の方が知っておくと良い保険を紹介します。
- 第三者の人やモノの損害をカバーする保険
- モノの損害をカバーする保険
- 人の損害をカバーする保険
第三者の人やモノの損害をカバーする保険
・PL保険
・請負業者賠償責任保険
工事中に起こった事故が対象の請負業者賠償責任保険に対し、PL保険は工事完了後に起こった事故が対象となります。
モノの損害をカバーする保険
・建設工事保険
・組立保険
・土木工事保険など
モノの損害に備える保険のため、人に被害があった場合は補償されません。
人の損害をカバーする保険
・労災上乗せ保険
・使用者賠償責任保険
・法定外補償保険など
従業員やアルバイトがケガや死亡した場合に備える保険です。
工事業や建設業の場合、PL保険以外にもさまざまな保険が存在します。
どの保険が良いかは会社によって異なるため言い切ることはできません。
それぞれのリスクを考えて、必要な補償がある保険に加入することが重要です。
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無料 見積もり依頼はこちらPL保険(生産物賠償責任保険)の補償内容
PL保険に加入すると補償を受けられる損害の種類は主に6種類あります。
補償 | 詳細 |
---|---|
損害賠償金 | 損害を与えた被害者に対して支払う賠償金 |
損害防止・軽減費用 | 被害拡大を防ぐための措置にかかる費用 |
争訟費用 | 訴訟を受けた場合の訴訟費用・弁護士費用 |
緊急措置費用 | 事故発生時の応急手当にかかった費用 |
権利保全行使費用 | 他にも責任を負うべき会社がある場合、その会社に対して求償権を保全または行使するための費用 |
協力費用 | 保険会社が事故解決のために行う要求に協力するために要した費用 |
補償を受けられるのは、保険に加入している期間です。
保険期間中に発生した損害だけではなく、事故の原因がPL保険に加入する前に発生していたとしてもカバーしてもらうことが可能です。
しかし、PL保険に加入している時に損害の原因が発生した場合でも、PL保険を解約した後だと補償は受けられないため注意が必要です。
また、補償される内容や金額は、保険会社や契約内容によって異なってくるため、確認が必要です。
PL保険の補償対象となるケース
補償対象となる事例を紹介します。
業種 | 事例 |
---|---|
工事業・建設業 | ・引き渡し後、施工ミスが原因で水漏れが発生して室内が水浸しになり営業できなくなった ・取り付けた看板が落下し、通行人にケガを負わせた ・電気の配線ミスにより漏電し、火災が起きて近くのモノが全焼した |
製造業 | ・製造した電子レンジから発火し、家が火事になった ・製造した部品に欠陥があり、ネジが取れて事故に繋がった |
販売業 | ・海外から輸入販売した自転車に欠陥があり、購入者がケガを負った ・販売した石鹸が原因で、たくさんの購入者から皮膚に炎症が起きたと訴えられた |
どれほど注意していても、事故が起こる可能性はあります。
事故が起こった場合、損害賠償金が多額になるケースも珍しくありません。
リスクに備えるためにも、他人事ではなくPL保険へ加入することをおすすめします。
PL保険の補償対象外となるケース
PL保険に加入しているからといって、どんな場合でも補償対象になるわけではありません。
補償対象外となるケースは下記の通りです。
・故意によって生じた損害賠償責任
・重過失の場合の損害賠償責任
・危険すぎるモノを取り扱った場合に起こった損害賠償責任
・被保険者と生計を共にする同居の親族に対する損害賠償責任
・従業員が業務中に被った身体の障害に起因する損害賠償責任
・地震、噴火、洪水、津波などの自然災害が原因で起こった損害賠償責任
・正当な理由がなく、リコールなどの措置を取らなかったために起こった損害賠償責任
その他にも各保険会社の「保険金をお支払いしない主な場合」に補償対象外のケースが公表されているため、確認が必要です。
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無料 見積もり依頼はこちら追加した方が良い特約は?
基本の保険だけでは補償が足りない方は、特約を追加することで幅広いリスクをカバーすることが可能です。
特約名 | 詳細 |
---|---|
不良完成品損害補償特約 | 生産物が成分や部品等として使用された完成品の損壊に起因する損害 |
不良製造品損害補償特約 | 生産物が部品として用いられた製造品の損壊に起因する損害 |
食中毒・特定感染症利益補償特約 | 食中毒や感染症が発生し、営業が休止または阻害されたために生じた損失 |
リコール費用特約 | 生産物の欠陥が原因で、リコールを実施するための費用を負担する場合の損害を補償 |
リコールとなった場合、出回っている生産物の回収と修理に多額の金額が必要になります。
リコール費用特約を追加していると、費用がカバーされるため会社としては非常に助かるでしょう。
しかし、保険会社によってはリコール費用特約がない場合があります。
また、PL保険の特約として追加するのではなく、リコール保険という単独の保険も存在するため、リスクをカバーできるでしょう。
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無料 見積もり依頼はこちらPL保険(生産物賠償責任保険)の注意点
・補償対象外になる場合がある
・自己負担が生じる場合がある
PL保険は、第三者の人やモノに対する補償のため、商品自体に対する補償ではないということは理解しておきましょう。
補償対象外になる場合がある
損害賠償責任が生じる場合でも、補償対象外となることがあるため注意が必要です。
「PL保険の補償対象外となるケース」でも説明しましたが、故意に製造品を損壊したり、危険すぎるモノを取り扱った場合などです。
また、医薬品や農薬、食品の生産物が期待された効能や性能を発揮しなかったことが原因の損害も補償対象外となります。
アスベストは、人体に悪影響を及ぼすものとされていることから、アスベストを使用した工事は補償対象外です。
取り扱っている工事や製造品は、PL保険の補償対象となるか確認する必要があります。
自己負担が生じる場合がある
PL保険に加入しているからといって、自己負担額なしになるわけではないため注意が必要です。
保険金支払いにならない一定額の免責金額というものが存在します。
例えば、損害賠償額が1,500万円の場合で免責金額が100万円の保険の場合、保険金として1,400万円支払われますが、免責金額の100万円は自己負担となります。
保険会社にもよりますが、免責金額はご自身で設定できたり変更が可能な場合が多いです。
免責金額を高く設定する場合、保険金額は少なくなりますが、保険料を安く抑えられるというメリットもあります。
自己負担が生じることを覚えていてください。
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無料 見積もり依頼はこちらおすすめの保険会社
PL保険は、ほとんどの保険会社で取り扱いがあります。
おすすめの保険会社一覧
・AIG損保
・東京海上日動
・三井住友海上
・日新火災
・損保ジャパン
AIG損保では「事業総合賠償責任保険(STARs)」という、企業が抱える第三者賠償リスクをまとめて補償する保険があり、この中にPL保険の補償内容が含まれています。
このように、保険会社によって保険名や補償内容が多少異なる場合があります。
PL保険だけではなく、総合的な保険や他のプランと組み合わせるなど、ご自身の会社に必要な補償を補えるプランに加入しましょう。
まとめ
モノ作りをする工事業や建設業にとって、第三者の補償をカバーできるPL保険は必須といえるでしょう。
補償対象外になる場合など注意が必要ですが、保険会社に確認しながら、必要な補償をきちんとカバーできるプランに加入しましょう。