定期報告義務はなぜ必要?罰則や事故を防ぐために知っておきたいこと

この記事では、定期報告がなぜ義務なのか、定期報告の概要、報告しないデメリットについて解説します。

読み終われば定期報告について理解でき、マンションにとって重要な理由が分かりますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

定期報告は義務なのか

定期報告建築基準法第12条報告の義務が明記されています。

特定行政庁や国が指定する建物を、安全に維持管理するために、定期報告は義務付けられています。

建物が適切に管理されていないために死者が多数出る火災が発生し、こうした事故を背景に2016年に建築基準法は改正されました。

以前は特殊建築物と表現していましたが、2016年に建築基準法が改正されてから国交省は特定建築物と表しています。

混同するかもしれませんが、同じものを示しているので注意しましょう。

定期報告制度の法改正

上述の通り、2016年に建築基準法が改正され、定期報告制度の中身が変わりました。

改正の理由は建築物の火災で死者が出た事件が続いたことです。

2012年5月の広島県でのホテル、2013年2月の長崎県でのグループホーム、同年10月福岡県での診療所の火災。

これらの事故原因が、適法に建物が管理されていなかったためと判断され、国交省は法改正しました。

定期報告の対象の強化

特定行政庁が指定するものに加え、国が決定する建築物は報告が義務付けられました。

国が指定するものとは観光用のエレベーター、メリーゴーランドや観覧車などです。

これらが新たに定期報告の対象になったのは、適法に管理を強めようとする国交省の狙いの表れです。

防火設備の定期検査の採択

火事が原因で法改正したので、防火設備が報告対象に加わりました。

報告すべき防火設備とは、階段に設置されている防火扉などです。

資格者制度の採用

改正前は講習を修了すれば点検できましたが、法定講習を受けて国交省から資格証を受けた人だけが点検できるように変更されました。

建物の管理を強化するために点検者の専門性を考慮しています。

定期報告の概要

定期報告制度のくわしい内容を見ていきましょう。

定期報告義務があるのは建物の所有者や管理者

建築基準法には定期報告をするのは、マンションの所有者や管理者との記載があります。

所有者は管理組合を指し、管理者は理事長を示していて、管理会社に報告義務はありません。

点検をするのは管理会社ですが、理事長の名前で提出するのが一般的です。

対象は特定建築物

特定建築物は建築基準法第2条の2に明記されています。

マンションは共同住宅に当たります。

特定建築物一覧
学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場
引用元: 建築基準法

定期報告の内容

報告しなければならないのは特定建築物、建築設備、防火設備、昇降機等で、それぞれの具体的な内容は下記の通りです。

点検の種類点検内容
建築物敷地・地盤建築物の外部屋上・屋根建築物の内部避難施設等その他(免震装置や避雷設備等)
建築設備給排水設備換気設備
非常照明設備
排煙設備
防火設備防火扉
防火シャッター
ドレンチャー設備
昇降機等エレベーター
エスカレーター
小荷物専用昇降機
遊戯施設等

ドレンチャーは重要文化財に設置されています。

建物の周りにドレンチャーヘッドを取り付け、外部から飛んで来る火の粉や射熱から建物を守るために備え付けられます。

提出は特定行政庁へ

特定行政庁は各都道府県や市区町村の自治体です。お近くの特定行政庁は、下記URLから確認できます。

報告時期は

報告時期は1〜3年の間で、点検内容によって報告時期は異なります。

点検の内容報告時期
建築物1〜3年の間で特定行政庁が定める時期
建築設備、昇降機等、防火設備半年〜1年の間で特定行政庁が定める時期

内容によって報告頻度が違いますので、忘れずに提出しましょう。

誰に作業を依頼するか

資格を持っている者だけが作業できるので、定期報告の点検は誰にでもできるものではありません。

定期報告の検査ができる資格は下記の通りです。

  • 一級建築士
  • 二級建築士
  • 特定建築物調査員(特定建築物のみ可)
  • 建築設備検査員(建築設備のみ)
  • 防火設備検査員(防火設備のみ)
  • 昇降機検査員(昇降機のみ)

一級・二級建築士は全ての検査が行えますが、検査員や調査員は特定の検査しかできません。

誰に依頼するのかは重要なので、結果を正確に報告し、不具合があれば提案してくれるような、信頼できる業者に依頼しましょう

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定期報告義務を怠るとどうなるか

そもそも建築基準法に報告義務がありますが、報告しなかった場合はどういう処分になるのか解説します。

罰則がある

報告しないとペナルティが与えられ、建築基準法第101条によれば、100万円以下の罰金が科せられます。

また、報告せずに被害者が出るような思いがけない事故が起こったときは、刑法と民法によって所有者が罪に問われます。

裁判で悪質だと判断された場合は、執行猶予がつかずに実刑判決が下される事例も増えています。

2012年に広島県で起きたホテルでは38年間、定期報告していませんでした。

ホテル会社の社長は業務上過失致死傷害罪に問われ、禁錮3年、執行猶予5年の有罪判決が下されました。

報告しないとデメリットが大きいので、忘れずに報告しましょう。

事故が起こる

定期報告をしないとメンテナンスが長年されない状態となるので、事故が発生しやすくなります

たとえば、外壁の一部が落下して通行人に怪我をさせるかもしれませんし、火事が起きたときに防火扉が閉まらないと被害が大きくなるかもしれません。

実際に、毎年日本全国では外壁落下の事故が起きており、2020年度は、外壁による事故件数は6件、その内1件は被害者が出る事故が起こっています。

引用元: 特定行政庁より報告を受けた建築物事故の概要 国交省

管理するマンションで事故が起こって欲しくない方は、必ず定期的に点検と報告を行うようにしましょう。

定期報告の費用相場

延べ床面積費用相場
〜1,000㎡(12室)40,000〜45,000円
〜2,000㎡(25室)44,000〜50,000円
〜3,000㎡(40室)52,000〜60,000円
※部屋数は70平米の3LDKで換算

定期報告するための点検の費用相場を集めてみました。

仮に1フロアーに70平米の部屋が10室あるとすれば1,000㎡は2階建て、2,000㎡は3階建て、3,000㎡は4階建てです。

点検を管理会社指定の業者に任せるのも良いですが、相見積もりをすることも重要です。

大切なみんなのお金を有効に使うにはどんな方法が1番良いのか、考えて使うと良い結果になります。

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 定期報告義務は所有者がすべきなので役目を果たそう

自分のマンションなので管理会社任せにせず、自分のことと受け止めて対応するのが重要です。

弊社でも定期点検を承っており、検討頂いてる方向けにお見積りを提出させて頂きます。

定期点検を検討されている方は、ご気軽に弊社までご連絡ください。

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この記事の担当スタッフ

建築・消防ラボのお問い合わせ受付/見積もり作成などを担当。消防工事・消防点検・建物工事・建物点検に関する幅広い見積もり依頼を受け付けております。業歴60年のなかで様々な点検/施工実績がございます。社内にいる各種スペシャリストと連携してサービスを運営しております。

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