12条点検とは?改正後の制度の概要と点検項目を解説

12条点検とは?改正後の制度の概要と点検項目を解説

12条点検とは建物の安全性を確認するために実施する定期点検のことです。12条点検の実施は建物の管理者に課せられた義務であり、怠ると罰則の対象になる可能性もあります。しかし12条点検はルールが大変複雑です。

そこでこの記事では、建物の管理者が知っておくべき12条点検に関するルールの概要をまとめてご紹介します

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目次

12条点検とは

12条点検とは、不特定多数の人が利用する建物の所有者もしくは管理者に義務付けられた点検です。建築後の建物は、使用や経年劣化によって老朽化します。建物の安全性を確保する目的で実施されるのが12条点検です。

官公庁施設の建設等に関する法律(官公法)及び、建築基準法(建基法)双方の第12条に点検が規定されていることから、「建築物等の12条点検」とも呼ばれます。

12条点検は法令で定められているため、点検義務を怠ると罰則を受けることもあるので注意が必要です。

12条点検の調査対象は大きく次の4つに分類できます。

  • 建築物
  • 防火設備
  • 建築設備
  • 昇降機

12条点検における検査は、誰でも実施できるものではありません。有資格者に限定されます。12条点検に必要な資格とは、一級もしくは二級建築士であること。

または12条点検実施に関する法定講習を修了、合格した調査資格の保持者です。

自社に資格者がいない場合は、資格者を有する専門業者に調査依頼しなければなりません。

建築基準法改正の内容

平成28年6月に建築基準法が改訂された際に、12条点検の内容も一部変更になりました。主な変更点は次の2つです。

  • 12条点検の対象となる建物や設備
  • 12条点検を実施できる調査員の資格

点検対象となる建物や設備

建築基準法改正前は、12条点検を実施し報告する対象となる建築物や設備は3種類でした。しかし改正後は、8種類に増えています。具体的には次の通りです。

12条点検の対象となる建築物及び設備

改正前改正後
特定行政庁が指定する
建築物
建築設備
昇降機等
特定行政庁が指定する
建築物
建築設備
昇降機等
防火設備

国が政令で指定する
建築物
建築設備
昇降機等
防火設備

黄色部分が改正箇所

参照元:建築基準法第2条35号より

特定行政庁とは、建築主事と呼ばれる役職の責任者が在籍する市町村の長のことです。

建築主事が在籍しない市町村の場合は、都道府県知事が特定行政庁になります。

建築基準法改正前は、地方自治体が指定する建築物や建設設備、昇降機のみが12条点検の検査対象でした。しかし改正後は対象範囲が大幅に拡大しています。

参照元:建築基準法第4条1項より

これまでは対象ではなかった建築物等が改正後は検査報告の対象となっているため、注意が必要です。

12条点検が必要な建築物や防火設備、建築設備、昇降機等の事例には、次のようなものがあります。

用途
特定建築物劇場、映画館、演芸場、観覧場(屋外観覧席のものを除く)、公会堂、集会場
旅館、ホテル、下宿、共同住宅又は寄宿舎
百貨店、マーケット、勝馬投票券発売所、物品販売業を営む店舗、地下街
児童福祉施設等、病院、診療所、高齢者、障害者等の就寝の用に供する共同住宅
児童福祉施設等、病院、診療所、高齢者、障害者等の就寝の用に供する共同住宅
博物館、美術館、図書館、ボウリング場、スキー場、スケート場
事務所その他これに類するもの、複合用途建築物
学校、水泳場、スポーツの練習場、体育館
防火設備随時閉鎖又は作動できるもの(防火ダンパーを除く)
建築設備換気設備(自然換気設備を除く)
排煙設備(排煙機又は送風機を有するもの)
非常用の照明装置
給水設備及び排水設備 ( 給水タンク等を設けるもの)
昇降機等エレベーター
エスカレーター
小荷物専用昇降機
遊戯施設等

(参考資料:東京都都市整備局 定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧

実際には、それぞれに規模や階といった条件が細かく定められています。

また特定行政庁が指定する検査対象の基準は、自治体毎に異なります。自身が所有もしくは管理する建築物や設備が検査対象であるか否かは、個別にご確認ください。

調査員に求められる資格

12条点検を実施できる調査員に関しても、建築基準法の改正前後で変更点がみられます。

12条点検を実施できる調査員

改正前改正後
一級建築士
二級建築士
法定講習の修了者
一級建築士
二級建築士
法定講習の修了者で、国土交通大臣から資格者証の公布を受けた者

黄色部分が改正箇所

建築基準法の改正後も、一級及び二級の建築士であれば、12条点検を実施できます。

しかし改正後は建築士の資格がない場合、特定建築物調査員、防火設備検査員、建築設備検査員、昇降機等検査員の学科講習を受けて修了考査に合格のうえ、国土交通省から資格者証の公布を受けた者しか12条点検を実施できません。

また調査員の資格を取得した分野以外の調査はできなくなっています。

12条点検の検査項目

12条点検では、建築基準法にもとづいて点検項目が細かく定められています。

建築物

建築物および敷地については、項目は大きく6つに分類されます。

建築物および敷地の構造の点検項目

点検項目点検部位の事例点検内容の事例
敷地・地盤地盤、敷地、通路、塀地盤陥没の有
雨水の排水状況
建築物の外部建物の基礎、外壁壁面の亀裂や膨らみ
屋上と屋根屋根、屋上、工作物雨漏りはないか
劣化している箇所の有無
建築物の内部壁、床、天井、照明破損箇所の有無
避難施設廊下、出入り口、階段障害物の有無
その他煙突などの特殊な部位破損の有無

12条点検では建築物および敷地のほとんど全てが点検の対象部位です。

建物自体の点検だけではありません。地盤に問題がないか、また建物内の通路に置かれた荷物もチェックされます。細部に至るまで事前に確認し、必要に応じて修繕や整頓をして備えてください。

また外壁の種類によっては、10年ごとに全面打診調査が必要です。詳細は地方自治体にご確認ください。

防火設備

防火設備の点検は、感知器に連動して動作するタイプのものが対象です。次の4項目が点検対象となっています。

防火設備の点検項目

点検項目点検部位の事例
防火扉扉の故障や損傷、劣化の有無
防火シャッター設置位置が適切か否かの確認
耐火クロススクリーン装置の劣化や損傷の有無
設置場所の周囲の確認
ドレンチャーなど水幕を形成する防火設備貯水槽の劣化や損傷の有無
開閉弁や排水設備等の故障の有無の確認

防火設備の点検は、装置そのものが問題なく駆動するかを確認すると同時に、設置場所やその周囲に駆動を妨げるものがないかを確認します。

なお耐火クロススクリーンとは天井裏に設置する防火システムです。火災が発生した際に耐火性のある布を天井裏から降ろして防火や防煙の区画を作成します。

ドレンチャーは屋根や外壁、軒先といった建物の外側に設置する消化設備で、水のカーテンで防火する設備のことです。

建築設備

建築設備の点検項目は大きく分けて4項目あります。

建築設備の点検項目

点検項目点検部位の事例点検内容の事例
給排水設備給排水管、受水槽、高架水槽、給水ポンプ、衛生設備腐食や損傷、水漏れの有無
運転状況の確認
換気設備厨房、機械室といった火気を使用する部屋や、窓の無い部屋の換気設備故障の有無
非常照明設備全ての非常照明機器電池の確認
保守点検報告の有無
排煙設備排煙機、可動防煙壁点検報告書の確認

非常照明設備の点検は、器具の種類を問わず全てに対して行われます。

昇降機

昇降機の点検は、エレベーターやエスカレーターのほか、小荷物専用の昇降機が対象です。

点検内容は人や荷物を載せるカゴ部分やドア、操作機器、電動発電機の構造や機能に異常がないかを点検します。

昇降機の法定点検が専門業者による保守点検の内容に含まれている場合は、別途業者に依頼する必要はありません。

ただし業者によっては、保守点検の内容に法定点検が含まれていないこともあります。昇降機の12条点検を別途依頼する必要があるかどうか、契約内容を確認してください。

12条点検の実施周期

12条点検には検査項目ごとに点検の頻度が定められています。また初回の点検については別途規定があるので確認してください。

12条点検の実施周期

点検項目初回の点検2回目以降の実施周期
建築物の敷地及び構造建物完成時に検査済証を受けてから6年以内3年以内
防火設備
建築設備
昇降機

建物完成時に検査済証を受けてから2年以内

1年以内

建築物と敷地については初回が建物完成後6年以内、以降は3年以内です。しかし他の点検項目は初回が建物完成後2年以内、次回以降は毎年実施しなければなりません。

12条点検を怠った場合の罰則

12条点検は法令によって定められた建物の所有者や管理者に課せられた義務です。

点検報告を怠った場合、法令違反になります。その場合、100万円以下の罰金が課せられることもあるため注意してください。

ほとんどのケースで、2回目以降の12条点検については、実施時期が近づいてくると検査報告を受け付ける団体から案内が届きます。しかし初回の点検のほか、郵便事故等何らかの事情で12条点検実施の案内通知が届かないとしても、点検義務が免除された訳ではありません。

いかなる事情があっても、点検報告を怠れば罰則の対象になるため、自身で点検の実施時期を管理することが大切です。

12条点検の委託先

一級もしくは二級建築士や、資格を取得した調査員が社内に在籍していない場合は、12条点検の実施を外部の業者に委託する必要があります。

12条点検の委託先には次のようなものがあります。

  • 建築設計事務所
  • 消防点検業者
  • 設備業者
  • 不動産管理会社
  • 一級もしくは二級建築士(個人)

12条点検は点検の実施だけでなく報告書の作成が欠かせません。

建築法規と消防点検の両方の知識があり、12条点検実施の経験と実績が豊富な業者に依頼すれば、自社の負担を軽減しながらスムーズに12条点検を終えることができます。

複数の業者から見積もりをとって費用を比較検討するのと同時に、12条点検の実績、点検を行う調査員がどのような資格を保有しているかも確認してください。

費用相場

12条点検にかかる費用は、点検対象となる建物や設備の規模によって全く異なります。

また調査依頼する際の費用について、法的な定めはありません(2022年5月現在)。そのため、各業者が個別に料金を定めています。

なおホームページに12条点検の費用を掲載している複数の業者の平均値は、次の通りです。

建築物の定期点検の費用平均

延べ床面積共同住宅事務所・病院等
500㎡以下4万円程度〜(税別)5万円程度〜(税別)

しかしこれらは業者によって計上されている費用項目が異なります。あくまで参考程度にご覧いただき、正確な数値は見積もりでご確認ください。

12条点検では調査だけでなく、報告書の作成が欠かせません。業者によっては、報告書の作成と提出は別料金で請求するケースもあります。

「安価に済ませたい」と調査だけ依頼して報告書を自社で作成しようとした場合、膨大な労力を費やさなければなりません。見積もりをとったら、費用の内訳も細かく確認することが大切です。

費用内訳

12条点検の調査依頼にかかる費用は多くの場合、次のような費用を合算して算定されます。

  • 調査費用
  • 報告書作成費用
  • 報告書提出代行費用

なお各都道府県の建築士事務所協会では、調査費用の内訳について次のような指針を設けています。

直接人件費+経費+技術料+特別経費+その他の別途加算業務に係る費用+消費税

直接人件費に含まれるのは、調査に要した人員の数だけではありません。調査員のスキルや保有資格、調査内容の難易度も含めて算定します。

また見積もりにあたっては現地に出向き、調査の必要な範囲や内容を確認することが欠かせません。

そのため調査対象の建築物ごと、また委託先の業者ごとに、見積もり金額は異なります。

こういった費用の内訳について念頭におきながら、数社から見積もりをとって委託先を比較検討してください。その際に根拠の不明瞭な費用が計上されていれば、納得いくまで確認することが大切です。

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12条点検の依頼はトネクションまで!

12条点検は建築物を所有、管理する方にとって毎年のように実施することが課されている義務です。

しかし建築基準法や官公庁施設の建設等に関する法律に則って実施しなければなりません。自社に法令に精通した有資格者がいない場合は、信頼できる業者選びが重要です。

見積もりを依頼する段階から、業者選びは始まっています。費用の内訳に不明瞭な点がなく、疑問に対してわかりやすく誠実に対応する業者を選んでください。

また建築や消防に関する法令を熟知し、12条点検の実績のある業者を選ぶことが大切です。

弊社では、万が一の事態が起きることを未然に防ぐために、国家資格を有する建物のエキスパートがきめ細かな対応で12条点検に対応します。

12条点検は、命を守り信用を守るために欠かせません。12条点検の業者をお探しであれば、信頼と実績で力強く安全をサポートするトネクションにぜひご相談ください。

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この記事の担当スタッフ

建築・消防ラボのお問い合わせ受付/見積もり作成などを担当。消防工事・消防点検・建物工事・建物点検に関する幅広い見積もり依頼を受け付けております。業歴60年のなかで様々な点検/施工実績がございます。社内にいる各種スペシャリストと連携してサービスを運営しております。

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