防火設備定期検査とは?調査する内容や流れを詳しく解説!
建築基準法の定期報告制度のひとつである「防火設備定期検査」。対象となる建築物を所有・管理しているなら、必ず実施しなければならない制度です。しかし実施しなければならないといわれても、いつ行えばいいのか、何をすれば良いのかなど、分からないことばかりでお悩みの方も多いでしょう。この記事では、防火設備点検を行う時期や検査の流れなどを詳しく解説していきます。
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防火設備定期検査とは、不特定多数の人々が利用する建物内に設置されている「防火設備」を重点的に検査する制度のことです。
建築基準法により定められた定期点検制度で、専門の資格をもった人が検査を実施し、その結果を特定行政庁に報告するよう義務付けられています。
防火設備は、火災の発生をいち早く感知したり、炎や煙が拡散するのを防ぐなど、火災の被害を抑えるためにとても重要な設備です。
火災事故が起きたときに万が一作動しないようなことがあったら、守れたはずの命を失ってしまう要因になってしまうことも。
特に近年の防火設備は機能性も向上し、構造も複雑なものが増え、動作確認を行う際には専門的な知識を要することが多くなっています。
このようなことを踏まえ、防火設備は専門家による定期的な点検が必要であるとされ、2016年6月1日に防火設備定期検査として制度化されました。
防火設備定期検査の報告対象となる建築物
防火設備定期検査報告対象となる建築物は、国からの指定により下記のようなものが対象となっています。
対象となる建物 | 建物の規模や階数位置(いずれかに該当するもの) |
---|---|
百貨店、展示場、マーケット、カフェ、ナイトクラブ、キャバレー、バー、ダンスホール、遊技場、料理店、飲食店、公衆浴場、物品販売業を営む店舗 | ・地下にある・主階が1階にない・3階以上の階にある・客席の床面積が200㎡以上ある |
体育館、スポーツの練習場、博物館、図書館、美術館、スケート場、スキー場、ボーリング場、水泳場(※いずれも学校に付随しないもの) | ・3階以上の階にある・床面積が2,000㎡以上ある |
映画館、劇場、演劇場 | ・地下にある・主階が1階にない・3階以上の階にある・客席の床面積が200㎡以上ある |
集会場、公会堂、屋外を除く観覧場 | ・地下にある・3階以上の階にある・2階以上の床面積が200㎡以上ある |
病院、有床診療所、旅館、ホテル、就寝用福祉施設 | ・地下にある・3階以上の階にある・2階の床面積が300㎡以上ある |
また、地方自治体の特定行政庁によって細かくルール化されている場合もあり、それぞれで対象となる建築物が異なる場合があります。
例えば東京都の場合、上記では対象となっていなかった学校に付随する体育館や、3階以上にある事務所なども検査対象となっています。
自身が保有・管理している建物が検査対象に該当するのかを正確に知るためには、各地域の特定行政庁のホームページへアクセスして確認するのが確実です。
「〇〇(都道府県名) 防火設備定期検査 対象」などと検索すると、それぞれの地域による検査対象を記したページが見つけやすいので、自身が所有・管理している建物が検査対象なのか調べたいときはチェックしてみてください。
防火設備定期検査の報告は年1回!有資格者のみが行える
防火設備定期点検は、年に1回定期的に行わなければなりません。
また、誰でも検査ができるということはなく、検査を行えるのは専門的な資格を持った人のみとなっています。
防火設備定期点検を行うために必要となる資格は、
- 一級建築士
- 二級建築士
- 防火設備検査員
の3つです。
また、防火設備には特殊な構造をしたものが多数あるため、ただ単に資格を持っているだけでは正確な検査は行えません。
防火設備定期点検は、防火設備に対する専門的な知識を豊富に持った業者に委託することが一般的です。
防火設備定期検査の内容は4項目
防火設備定期検査では、主に下記の4項目に関する検査が行われます。
- 防火扉
- 防火シャッター
- 耐火クロススクリーン
- ドレンチャー
耐火クロススクリーンやドレンチャーなど、「どんな防火設備なのかよくわからない」という人も多いかと思います。
それぞれの項目に関して詳しく解説していきます。
防火扉
防火扉は、火災時の炎や煙が他の部屋へ拡散しないように防止する扉のことです。
防火扉には、火災時に自動的に閉鎖する「随時(ずいじ)閉鎖式」と常に閉まった状態にある「常時(じょうじ)閉鎖式」の2種類がありますが、防火設備点検の検査対象となるのは随時閉鎖式の方になります。
構造が複雑な随時閉鎖式と比べると、常時閉鎖式は作りが単純なため、「特定建築物調査」の際に点検します。
検査内容は主に動作確認や劣化・損傷状況の確認のほか、防火扉と連動する感知器の状態確認なども行います。
防火シャッター
防火シャッターは、防火扉のように火災時の炎や煙の拡散を防ぐとともに、建物内で防火区画を構成する役割も持っています。
検査内容は、設置状況や劣化・損傷具合の確認、感知器との連動性やシャッターが閉まり切るかなどの動作確認を行います。
耐火クロスクリーン
耐火クロススクリーンは、防火シャッターと似た役割をもつ防火設備で、火災時に天井からガラスクロス製のスクリーンが降下し、防火区画を形成します。
防火シャッターのように開口部が大きい箇所に設置されるほか、ビルやマンションのエレベーター前にもよく見られる防火設備です。
検査では、感知器との連動性の確認、設置状況、劣化・損傷していないかの確認などを行います。
ドレンチャー
ドレンチャーは、天井に設置された散水ノズルから水を噴射し、水幕を形成して防火区画を作る防火設備です。
スプリンクラーと機能が似ていますが、スプリンクラーが消火を目的としているのに対し、ドレンチャーは延焼を防ぐことが主な目的となっています。
空港や駅、立体駐車場など、防火シャッターではカバーしきれない規模の大きい建物で主に設置されます。
検査では、散水ノズルの劣化・損傷具合の確認、タンクやポンプ類に変形や欠損などがないかなどの確認を行います。
防火設備定期検査の流れ
防火設備定期検査はどのような流れで行われるのか、詳しく解説していきます。
信頼できる業者に検査を委託する
防火設備定期検査は、一級・二級建築士もしくは防火設備検査員の資格を持った人しか行えないため、業者に検査を委託するのが一般的です。
万が一の火災による被害を抑える大切な検査なので、定期報告業務の経験が豊富な信頼できる業者に依頼するようにしましょう。
必要書類を用意する
防火設備定期検査に必要となる書類を用意します。
業者に委託する場合は、建物の詳細を記した図面資料などを用意するようになります。
検査の実施
検査日当日、委託した業者が建物内に立ち入り、防火設備を検査していきます。
当日は建物内のさまざまな箇所に検査員が立ち入ることになりますので、スムーズに検査を進めるためにも建物の関係者には事前に検査日を知らせておきましょう。
報告書の作成・提出
検査を実施した調査員が、定期報告書を作成し特定行政庁へ提出します。
提出後、およそ1~2ヶ月ほどで報告書の副本が特定行政庁から検査会社に返送されます。
副本を確認し、防火設備定期検査は完了です。
防火設備点検の報告を無視すると罰金が課せられる場合も
防火設備点検検査は、建築基準法(第12条)で定められた報告制度です。
もし、定期点検の報告を無視していると、最終的には100万円以下の罰金が課せられる場合も。
もちろん諸事情により報告がなかなかできない場合もありますので、報告を怠ったからといってすぐに罰金のような罰則が下されるようなことはありません。
しかし、防火設備の点検を怠り、万一建物で火災等が起きてしまったら、その建物の所有者・管理者に課せられる責任は非常に重たいものです。
建物利用者の安全性を保つためにも、定期的な点検は速やかに行うように心がけましょう。
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防火設備は、火災による被害の拡大を抑えるためにもとても大切なものです。
防火設備を設置している建物を所有・管理している方は日頃から適切な維持管理に努め、検査時期が近づいたら速やかに専門知識をもった業者に相談するようにしてください。
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