耐火クロススクリーンとは?種類や設置基準・防火シャッターとの違いも
一定以上の大きさの建物には、建築基準法によって火が広がらないように耐火性能を高める義務が課せられています。
その設備のひとつが防火シャッターです。防火シャッターは鉄製のシャッターで、火災発生箇所とそれ以外の場所を区分けする効果を持ちます。
一方で、緊急用の扉は重く、また段差があって間口が狭いなどの課題もあります。
これらを解決するのが耐火クロスを使ったスクリーンです。
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防火設備のひとつとして、火の手が広がりすぎないようにするものがあります。
一般的に広く採用されているのは、金属製の防火シャッターですが、近年では薄く軽い耐火クロススクリーンも普及してきました。
これらの違い、メリット・デメリットを、以下に一覧としてまとめます。
スクリーン式 | シャッター式 | |
---|---|---|
設置場所 | 防火区画 | 防火区画 |
素材 | 耐火クロス | 金属 |
定期点検 | 必要 | 必要 |
メリット | ・閉鎖時でも視界が確保できる ・車いすユーザーや子どもでも開けやすい ・狭いスペースにも設置できる | 古くから採用されているため、設備更新時に追加施工が必要ない |
デメリット | 既存設備からの更新の場合は大規模な工事が必要になることも | 降下時の金属音でユーザーの不安をあおるおそれがある |
スクリーン式の防火設備は、シャッター式と同様の防火性能・防煙性能を有しており、法定点検も同様に必要となります。
従来型である金属のシャッターでは、避難先である扉の向こう側が見えず、また降下時に大きな音が出るため、避難者に過度な不安をもたらすことがあります。
一方、耐火クロスは透光性が高く、軽い素材のため、心理的な恐怖を和らげることができます。
また、従来防火シャッターの隣に設置されていた防火扉は、重たく分厚いもので段差もあったため、車いすユーザーや子ども、高齢者などには扱いにくいものでした。
スクリーン式の場合は、布が軽い素材でできており、足元に段差もほとんどないタイプのものがあるため、誰でも避難しやすいというメリットがあります。
耐火クロススクリーンの種類
耐火クロススクリーンには、以下のような種類があります。
素材
耐火クロススクリーンの素材としては、ガラスクロス、シリカクロスなどが使用されます。
いずれも700度程度までの高温に耐えられる素材であり、建物火災における性能としては一定以上の安全性が保たれています。
また、どちらも高い透光性があります。
構造
耐火クロススクリーンには、巻取り式とバランス式の2タイプがあります。
どちらも、演芸ホールなどで見られる自動降下型スクリーンに近い構造です。
火災が発生した際に、自動でスクリーンが下りてきます。
巻取り式の場合、スクリーン下部に接触センサーがついており、もし避難者がスクリーンの下をくぐって避難しようとした場合には、自動で降下が一時的に停止します。
スクリーン自体に避難口が設置されているため、スクリーンが降りきってから、スクリーンの一部をめくるような形で避難します。
バランス式は、スクリーン下部の接触センサーがなく、スクリーン自体を持ち上げて避難します。
耐火クロススクリーンの設置・点検
耐火クロススクリーンは、以下の設置費用・点検費用・点検項目には、以下の通りです。
設置費用
耐火クロススクリーンは、設置個所の現状によって施工費用が大きく異なるため、メーカーに直接発注の見積もりを取らなければ、金額は分かりません。
工賃については、事前に複数社への見積もりを取って確認するのがおすすめです。
定期点検項目・点検費用
耐火クロススクリーンは、防火シャッター同様の防災設備として点検が実施されます。
- スクリーンそのものに劣化や破れなどがないか
- 火災を感知する機器と連動して、適切にスクリーンが降下するか
- 巻取り式の場合、接触センサーが適切に作動するか
などを確認します。
検査は毎年全数検査が義務付けられており、一級建築士や防火設備検査員などの有資格者による点検が必要です。
点検にかかる費用は、防火シャッターと同様に、1枚あたり4,000~8,000円程度です。
耐火クロススクリーンで安心・安全を確保
耐火クロススクリーンは、従来型の防火シャッターに比べて、非常時の心理的な不安さを軽減する効果があります。
防火シャッターと同程度の耐火・防煙性能があるため、設備更新の際には、ぜひ切り替えを検討してみてください。
導入や定期点検に際してかかる費用については、相見積もりを取り、納得できる業者を選定することが重要です。
トネクションでは、指定地域の複数業者から相見積もりを一括で取得できます。
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