補給水槽とは何か|役割や仕組み・設置基準まで解説
補給水槽は建物の屋上に設置される消火設備の一部です。補給水槽は火災の際のスムーズな放水をサポートする重要な設備であることから、消防法によって設置基準が定められています。
また補給水槽内には常に水が充満している構造のため部品の消耗が激しく、定期的な点検やメンテナンスが必要です。そこで
この記事では、補給水槽の役割や設置基準、また点検すべきポイントについて解説します。
補給水槽とは
補給水槽は建物屋上に設置されている水槽であり、消防設備のひとつです。補助高架水槽や補助水槽とよばれることもあります。
補給水槽は屋内消火栓やスプリンクラーの配管のほか、火災発生時に消防隊が送水のために使用する連結送水管につながっており、補給水槽や配管内は空気が入り込まないよう、常に水で満たした構造になっています。
補給水槽の役割
補給水槽の役割は、消火栓やスプリンクラーにつながった配管の中に空気が入らないようにすることです。補給水槽は、放水用の水源ではありません。放水がスムーズに行われるように配管内の空気を抜いて、火災時の放水をサポートするのが補給水槽の役割です。
仮に配管の中に水が満たされていない場合、配管内に空気が入り込みます。配管内に空気が入った状態では、放水を試みても空気の混じった水が放出されスムーズに散水できません。消火に必要な水量が足りないだけでなく、空気が放出されるタイミングで水飛沫をあげることもあります。
そうなると、消火活動に支障をきたすだけではありません。消火活動にあたる人員が負傷する恐れもあるため、大変危険です。
水で満たされた補給水槽は、配管内の水に空気が入り込まないよう、重力による水圧で常に圧力をかけ続ける役割を果たします。補給水槽は水圧を利用した設備であるため、建物の屋上のような高所に設置するのがポイントです。
補給水槽や配管を水で満たしておくことは、スムーズで安全な消火活動のために欠かせません。
消火栓と連結送水管の違い
消火栓、連結送水管ともに補給水槽に接続されていますが、その用途は大きく異なります。
消火栓は、消火活動に際して自衛消防員や住民が消火活動を行う際に使用する水を供給する設備です。マンションや屋内外に設置されており、誰もが初期消火のために使用できます。
一方の連結送水管は、消防隊が消火活動のために使用する水を供給する設備です。高層建築や地下街等に設置されます。
補給水槽と消火水槽・呼水槽の違い
補給水槽以外にも、消防設備の水槽には次のようなものがあります。
- 消火水槽
- 呼水槽
消火水槽とは
消火水槽は火災の際に使用する消火設備で用いる水を貯蔵する水槽のことです。屋内消火栓やスプリンクラーから放水する際は、消火水槽内の水を用います。
呼水槽とは
呼水槽は地下に消火水槽がある建物の場合にのみ設置されます。地下に設置された消火水槽から水を押し上げるためのポンプ内に水を送り込み、ポンプ機能をサポートするのが呼水槽の役割です。
補給水槽の設置基準
補給水槽の設置基準は、消防法施工令第27条および各自治体の条例で定められています。建物の用途や規模によって設置する補給水槽の容量や設置基準も異なるため、補給水槽の新設や交換の際はご注意ください。
補給水槽が必要なケース
次のような建物では、補給水槽の設置が必要です。
- 一定以上の高さの建物
- スプリンクラーがある
- 消火栓がある
- 連結送水管がある
消火配管内に空気が入らないよう、常に水で満たしておく必要がある消防設備が設置されている場合は、補給水槽によって高い位置から常時保水することが欠かせません。
補給水槽でこまめな点検・交換が必要な箇所
補給水槽は水圧によって配管内に空気が入り込まないようにする装置です。そのため劣化によって水圧に影響を及ぼす箇所の定期点検は欠かせません。
特に注意すべきは次の3ヶ所です。
- 配管接続部
- 逆止弁
- ボールタップ
配管接続部
補給水槽は屋外に設置されているため、特に配管接続部は劣化しやすい傾向にあります。配管の接続部分が劣化すると水漏れをおこし、圧力低下を引き起こすことがあるので注意してください。
逆止弁弁
逆止弁は水が逆流するのを防ぐ装置です。
特に旧来の鉄製の補給水槽を使用している場合、サビが詰まることで逆止弁が機能しなくなるケースがあります。逆止弁が機能しない状態で消火ポンプが起動すると、配管内の圧力が上がったタイミングで補給水槽に水が逆流する可能性があり、危険です。
補給水槽内のゴミが詰まることでも、逆止弁が機能しなくなることもあります。定期的なメンテナンスを行い、逆止弁に不調がないか確認することが大切です。
ボールタップ
ボールタップは、補給水槽内部の給水装置です。ボールタップは可動部位にゴムを使用しているため、経年劣化します。
ボールタップが劣化すると、定水位で給水停止できなくなります。そのため水圧を一定に保つことができません。万が一の火災の際に放水が十分にできない場合、二次災害を引き起こす可能性もあります。
ボールタップは、定期的にチェックして問題なく可動することを確認してください。
補給水槽の設置や点検の費用が知りたいなら見積もり相談してみよう!
消火設備には、半年ごとの機器点検と1年おきの総合点検が義務付けられています。専門業者とは長く関わっていくことになるからこそ、豊富な施工実績のある信頼できる業者を選びたいものです。
知識と経験の多い業者なら、新設や老朽化に伴う設備の交換、点検を安心して任せられます。
弊社トネクションは60余年の実績を誇る、消防設備と建築のスペシャリストです。補給水槽をはじめとする消火設備の新設、交換、点検のお見積りやご相談も承っております。補給水槽のお困りごとは、トネクションにお任せください。