連結送水管とは？仕組みや設置基準・更新時期の目安をまとめて解説

一定以上の高い建物や地下階がある建物では、消防用のホースが火元まで届かないケースがあります。

こうしたトラブルを防ぐために、一定の基準を満たしている建物には連結送水管という設備の設置が義務付けられています。

連結送水管の仕組みと、連結送水管を必要とする建物の要件、設備の点検・更新の時期目安と費用について、解説します。

連結送水管とは

連結送水管は、一定の基準を満たしている建物に対して設置が義務付けられている消火設備です。

• 放水口は地下階、地上3階以上の階に設置
• 各階の放水口から水平距離が50m以内にすべての床を覆えるように配置
• 放水口は消防隊が消火活動を行える場所に設置
• 主管の直径は100A（4インチ）以上
• 送水口は双口型
• 11階以上では放水口も双口型

上記のほかにも、送水口のホース接続口の高さなど、細かく取り決めがあります。

火災になった場合、地上階に設置された送水口にホースを接続してポンプで水を送り、火災発生階の放水口に接続したホースから水を出して鎮火を目指します。

通常は「乾式」と呼ばれる方式の連結送水管が設置されていますが、高層階のある建物の場合は「湿式」が採用されています。

乾式	送水口・放水口のほかに、水を送る送水管、放水用のホースなどが格納された格納箱がセットとなっている
湿式	屋上部など配管の中で最も位置が高いところに、補助水槽が設置されている

補助水槽には常時水が用意されており、これによって上階の配管内に溜まりやすい空気をうまく抜き、高層階でも適切に鎮火用の水を供給できるようにしています。

高層ビル・超高層ビルにおける連結送水管

先ほど解説した補助水槽のほかに、高い建物に設置が必要な連結送水管付属の設備があります。

高さが70mを超える超高層防火対象物の場合、消防ポンプ車の水圧だけでは上層階に水を届けられないという問題があります。

そのため、途中の階に加圧送水装置を設置する必要があります。

また、非常時でも加圧送水装置が停止しないよう、最低でも2時間は使用できる非常用電源設備が必要です。

連結送水管を点検・更新するには

連結送水管は消防に必要な設備であり、管轄の消防署に定期点検の結果を報告することが義務付けられています。

これらの点検の頻度と費用、設備更新の頻度と費用について、それぞれ簡単に解説します。

点検頻度・点検費用

連結送水管の点検は、送水口から放水口まで、送水の圧力に管が耐えられるかのチェックが必要です。

この点検は、連結送水管設置から10年が経過したものに対して、3年ごとに実施が必要とされています。

建物の高さによっても異なりますが、1本の連結送水管の耐圧試験にかかる費用は、5万円程度です。

また、放水口から先、設置されている放水用ホースが適切に使用できるかのチェックも、同様に設置から10年を経過したものに対して、3年ごとに実施が必要とされています。

ホース1本あたりの試験に2,000円程度の費用がかかります。

更新頻度・更新費用

定期点検で問題が見つかった場合は、すぐに設備の交換が必要となります。

また、問題がなかった場合でも、設置から25年程度を目安に設備交換が推奨されます。

設備交換の際には、建物の構造物内に埋める形で設置している送水管の取り換えも必要となるため、大規模な改修工事が必要です。

建物の構造や送水管の本数によって金額が大きく異なるため、実際に現地調査・図面確認などを経て、見積もりを取得しなければ、金額がいくらになるかは分かりません。

それぞれの頻度・費用等についてさらに詳細な解説が必要な場合は、次の記事を参照してみてください。

コストを抑えながら安全な維持・管理を進めるために

連結送水管を含めた防火設備は、法令で点検が義務付けられています。

定期的な実施が必要になるうえ、設備更新となると費用も大きくなりやすいですが、適切に実施しないと建物の安全は確保できません。

また、万が一不備が見つかった場合にそれを放置していると、法律違反として刑事罰の対象ともなってしまいます。

より安心で安全な建物運営を行うためにも、こうした点検・設備更新は適切に行う必要があります。

費用をできるだけ抑えて適切に建物を維持管理するのにおすすめの方法が、相見積もりの取得です。

トネクションでは、対象地域で施工対応可能な複数の優良工務店から、一括で見積もりを受けることができます。

ぜひ活用して、安心・安全な建物運営を行いましょう。