【完全理解】外壁打診調査|必要時期から金額・調査方法・工作物責任も
マンションの所有者は、自分のマンションで事故が起こらないか、不安に感じている方も少なくないですよね。
この記事では、外壁打診調査とは何か、調査方法、調査にかかる金額、工作物責任について解説します。
読み終えれば、外壁打診調査について理解でき、自分の住んでいるマンションに必要なのか分かるので、ぜひ参考にしてください。
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平成20年の改正によって外壁打診調査はマンションの所有者・管理者に対して報告が義務付けされました。
外壁打診調査を実施しなければならない条件は下記です。
対象時期 | 竣工後10年を超えるとき 外壁の改修を実施後10年を超えるとき 定期調査により異常が認められたとき |
対象の仕上げ材 | タイル貼り(乾式工法を除く) 石貼り(乾式工法を除く)モルタル |
調査対象箇所 | 落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分 |
外壁打診調査が必要な時期は?
マンションでは、特殊建築物定期調査を1〜3年の間に行って、特定行政庁へ結果を報告しなければなりません。
この調査で亀裂、ひび割れや浮きを発見し、そのひび割れが落下の危険があると判断するときは、外壁打診調査を実施する必要があります。
その他にも、外壁打診調査をしなければならない場合があります。
対象時期は下記の通りです。
- 竣工後10年が経過したとき
- 外壁の改修後10年が経過したとき
10年が外壁打診調査の目安となっていますが、定期調査によって異常を発見した場合は竣工してから10年未満であっても、外壁打診調査は求められます。
外壁打診調査の対象となる仕上げ材は?
定期調査で危険なクラックを発見した場合は、必ず外壁打診調査を実施しなければならないのでしょうか。
外壁打診調査が対象となる外壁の仕上げ材を確認しましょう。
外壁打診調査が必要な素材は下記の通りです。
- タイル貼り(乾式工法を除く)
- 石貼り(乾式工法を除く)
- モルタル
乾式工法は対象外となります。
乾式工法は接着剤でタイルなどを固定する方法で、乾式ではない湿式やモルタルを使っている場合は、外壁打診調査が必要になります。
外壁打診調査が必要な箇所は?
外壁打診調査が必要な箇所は歩行者などに怪我をさせる可能性がある部分です。
怪我をさせる場所は上記のような場所です。
くわしい場所については『建築基準法施行規則の一部改正等の施行について(技術的助言)』に記載があります。
ただし、庇や落下防止柵などのように、歩行者の安全が確保できる措置をすでに取っている場合や3年以内に外壁改修などを行うことが確実な場合については外壁打診調査を行う必要はありません。
外壁打診調査を実施するのに資格は必要?
外壁打診調査を行うのに資格は必要ありませんが、資格を持っている人に作業を依頼しましょう。
- 外壁打診調査士
- 上級外壁打診調査士
- 外壁打診調査認定事業者
上記の3つは外壁打診調査協会が認める資格です。
上級の診断士になると、作業だけではなく事前調査から報告書の作成までが可能となります。
認定事業者は、協会お墨付きの業者になれるので、信頼の証明になりますね。
外壁打診調査2つの方法を比較
調査方法は打診法と赤外線法があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
メリット | デメリット | 料金(㎡) | |
---|---|---|---|
打診法 | 信ぴょう性が高い | 料金が高い工期が長期間 | 200〜750円 |
赤外線法 | 料金が安い工期が短期間 | 信ぴょう性が低い | 120〜350円 |
10階建てのマンションの費用を計算してみましょう。
各階の床面積が150㎡だと仮定すると合計の床面積は1,500㎡です。
合計の床面積に係数の1.1〜1.4を掛けると外壁の面積は1,650〜2,100㎡になります。
仮に外壁の面積が2,100㎡だとすれば打診法なら42〜157.5万、赤外線法なら25.2〜73.5万円の費用がかかります。
打診法
打診法は、打診棒で叩いて音で判別する診断手法のこと。
外壁の浮きは、コンクリート内部に空気の層ができるために起こるため、叩いて他の箇所より高い音がするのは、浮きがある証拠です。
外壁打診調査は、手の届かない場所などに、屋上からロープやゴンドラをかけたり、足場を組んだりして調査を行い、外壁のほとんど全てを叩くので、調査の精度は高いです。
調査員がくまなく外壁を確認するので、シーリングが切れていたりエフロレッセンスが発見できたり、浮き以外にも不具合を発見できます。
しかし調査をするのに時間がかかり、赤外線法よりも費用が高額になります。
打診法は正確に調査ができるのがメリットですが、工期がかかったり費用がかさむのがデメリットです。
赤外線法
赤外線法は赤外線カメラを使って、外壁の温度差を利用して診断を行ないます。
外壁は熱を受けると、温度が高い場所と低い場所が出るため、色の違いから外壁に浮きがあるかどうかを、判別する仕組みとなっています。
赤外線での調査方法における最大の特徴は、カメラで撮影するだけなので、打診法より支出が少ないという点。
打診法のようにロープを使ったり、足場を組む必要がないため、結果的に調査費用をかなり安く抑えることが出来るのも大きなメリットであると言えるのです。
ただ打診法と比較すると、目視による調査ではないため、大きなクラックは発見できますが、小さなクラックは発見できないこともあり、調査の信頼性は低いというデメリットも。
また赤外線法は温度差を利用して診断するので、気温が低い雨の日や風が強い日は正確な診断ができないため、作業する日は、天候が良くなくてはいけません。
赤外線法は費用が安く、住民の生活に影響が出ないという点で、非常にメリットは大きいですが、調査の正確性が打診法より低いのがデメリットです。
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無料 外壁調査の見積もり外壁調査をしないと罰則はあるのか?
費用の安い赤外線法であっても数十万円の支出が必要なので、可能であれば、打診調査を行わずに済ませたいですよね。
しかし外壁調査は行わないと、罰則が課されるケースも少なくありません。
実施しないと罰則があります
建築基準法第101条には、適切なタイミングで外壁調査を行わなかった場合「100万円以下の罰金に処する」と表記されています。
ただし、3年以内に外壁改修などを行うことが確実な場合は必要ありません。
歩行者に損害を与えると工作物責任がある
罰則よりも怖いことは、通行人などに怪我をさせてしまうこと。
外壁打診調査を行わずに、外壁の一部が落下して通行人に損害を与えると、所有者である管理組合の責任になります。
実際に全国では外壁の落下で被害が発生しています。
具体例は下記です。
マンションの外壁タイルの一部が道路へくずれ落ち、歩行者1名が負傷した(2019年)
マンションの2階外壁のモルタル片が1階のひさしに落ちて破片の一部が道路に飛び散った(2019年)
マンションの11階の外壁タイルが走行中の乗用車の窓ガラスに落下し、運転者と同乗者が負傷した(2019年)
引用元:特定行政庁からの報告を受けた建築物等の事故の概要
このように日本全国でマンションの外壁による事故が発生しています。
怪我をさせてしまう前に、対象となった場合は外壁打診診断を行いましょう。
外壁打診調査を実施してマンションを守ろう
外壁に亀裂があるのを放っておくと、通行人の方に危害を与えてしまう可能性も少なくありません。まずは調査が必要なのかを確認しましょう。
定期的な調査と適切な対応がマンションを守ります。
弊社でも、外壁調査を承っており、打診調査だけではなく赤外線カメラを用いた、最新の調査手法を実施しています。
もし外壁調査を検討されているのであれば、無料でお見積りを提出させて頂くことも可能なので、まずはご気軽にご相談ください。
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